インフラエンジニアがブルーオーシャンということで話題ですが、SIerは長い歴史があり今さらブルーオーシャンな訳がないと思う方もいると思います。
が、キャリアアップのチャンスはいくらでもあると思うので、現場の実態や状況をつらつらと語ってみようと思います。
インフラエンジニアにはいくつか種類がある。
まずインフラエンジニアと言っても働く業種によって違いがあります。
1.大手SIer
2.SIerの委託先(請負)や派遣、SES
3.事業会社(自社システムを運用している会社全般)
代表的なところで分類するとこんな感じです。
後述しますが、事業会社は少し特性が異なるため、私の本職である1番と2番について主に語っていこうと思います。
大手SIerの実態あれこれ(その1)
まず大手SIerのインフラエンジニアに1番求められるものが技術力かと聞かれたら、私はそうではないと思います。
大手SIerの規模になるとプリセールスや要件定義、設計、構築、テスト、運用、保守と全ての工程を請け負います。
担当する工程によって若干の違いはあるものの、根本としては顧客システムに発生した課題や問題を技術的に解決することが主業務となります。
SNSではSIerは技術力が低いなんて意見もちらほら見掛けますが、社内の技術主管やナレッジベースの豊富さ、バックエンドのサポート体制(ベンダーや製品サポート等)、幅広い検証環境、研修や教育資料の充実さでは圧倒的に群を抜くでしょう。エンジニアを育てる環境が整っているという観点では間違いなくトップクラスです。
これだけ充実した環境ですから、技術力の高いエンジニアも数多くいます。
社内には製品毎に技術主管があり、最新アップデートやバグ情報、案件推進時の技術支援を受けることができます。
保守窓口やベンダー、開発元メーカーに問い合わせするパスも多くあります。
つまり、技術的なことを聞く窓口が充実しており、自分が分からなくてもバックサポートを受けながら技術的な不明点は解決していくことができます。
じゃあ技術力がなくても仕事ができてしまうじゃないかという声も出てきそうですがそうではありません。
各問い合わせ先は製品毎の支援はしてくれても、システム全体や複数製品に跨って発生した問題に対してはそこまで支援してくれません。
そういった際に一次担当者の技術力が問われます。
システムの特性や互換性や特定の構成のみで発生する事象等、解決の糸口を見つけるために技術力は欠かせません。
これまでの歴史の中で技術力がない人をPMやPLに据えた際、炎上して痛い目を見るということは皆さん分かってきていることでしょう。
PMやPLはマネジメント業務ばかりというイメージがあるかもしれませんが、技術力が求められるということです。つまり技術力がないとPMやPLにはなれないと言うことです。
(稀にとんちんかんな人がPMになることもありますが、それは色々な事情があると思うので割愛)
大手SIerの実態あれこれ(その2)
大手SIerの特徴として取引先(エンドユーザー)が大企業であることがほとんどなので、案件規模が大きくなりがちです。
そのためプロジェクト関与人数が一定数必要となるケースが多く、マニュアル化された業務、技術力を必要としない業務が一定数あるのも事実です。
ちなみに上流工程ほどマニュアル化された業務は少なく技術力や知見を求められるシーンが多くなります。
- BCP要件を満たすためにはどういった構成、設計にすれば良いか
- こういった構成の際はどうするのがベストプラクティスか
- この設計時にパラメータはどうすべきか
- こんな障害が出ている際はどうやって切り分けしていけば良いか
どれも参考書に書いてあることは少なく、正解はケースバイケースということがほとんどなので実践の中で学んでいくしかありません。
運用や保守の場合、障害発生時の対応がマニュアル化されている、トラブルシューティングをしようにも決められた作業以外は禁止されていたりするケースもあるため、技術力を発揮しようにも制限されてしまう場合もあります。
仕事量が膨大なため、技術力よりも単純に人手が欲しいなんてシーンも正直あります。
SIerは技術力が低いと感じる方々の多くはこういった案件にアサインされた結果なんだと思います。
案件の末端から見える景色と案件の中心で見える景色は全くと言って良いほど違いますから。
人は沢山いる、でもエンジニアが足りないと言われている
大手SIerになると、数千人〜数万人規模のエンジニアがいるにも関わらずエンジニア界隈は延々と人手不足が叫ばれています。
しかし、なぜ未経験者や経験の浅い人が転職に苦労しているかというと、これには明確に理由があります。
事業会社は少し特性が異なり、そもそも売り上げや利益がしっかり出ていないと人を増やすことが出来ません。逆にSIerや請負、派遣やSESをやっている企業は人さえ確保できれば自分達が請け負う案件数を増やすことができます。案件数を増やせるということはそれだけ売り上げや利益が増えます。
この違いは結構重要なので覚えておくと良いかもしれません。
しかし、人さえいれば誰でも良いということはもちろん無く、若手やメンバーポジションの人は統括するPMやPLがいないことには戦力になりにくいです。
企業というのは年々成長しないと投資家や銀行の評価が上がっていかないため、黒字といえど右肩上がりで業績を伸ばしていく必要があります。
「前年度と同じ業績=業績は伸びなかった」というのはマイナス評価になるため、人員を増やして業績を上げていく必要があります。
昨年度と同じ案件数をこなすだけなら人手を大幅に増員する必要はありません。
そのため常にエンジニアを募集している状況が生まれます。極論、エンジニアが足りるなんて状態は基本的に発生しません。(事業会社がことごとく潰れて案件が無くなりでもしない限り)
募集のフローを整理すると、PMやPLポジションの人が確保できてから若手枠が生まれる流れになります。しかし、どこの大手もPMやPLポジションの確保に苦戦しているが故に若手枠の募集が伸びていかないのです。
無理に経験不足の人を採用すれば案件が赤字になるリスクがあります。
それなら無理に採用して赤字になるくらいなら現状維持の方がマシと考えるのはごく当たり前の発想かと思います。
結局のところなりたい人が少ないからブルーオーシャンなんてことは無く、一定の技術力(採用基準)を越えないと人手不足だろうがなんだろうが採用されないのがIT業界の現状です。
(これはインフラエンジニアに限った話ではありません)
SIerで身に付く技術を理解する
なんといってもSIerと事業会社の1番と言っても良い違いは、顧客(不特定多数の)システムを面倒見るか、同じシステムの面倒を見続けるかの違いになります。
一言で言うならSIerは広く浅く、事業会社は狭く深くになりやすい傾向があります。
広く浅くだから特定の技術領域を比較されて技術力がないなんて言われるんですね。
深い領域についてはベンダーや技術主管のサポートを受けられるからという背景もあり、別に1つのことに特化する必要性が薄いからそうなっているだけで、単純に1つの技術領域だけを比較して技術力がないと言うのは違うと思います。
SIerで優秀なエンジニアといえば多種多様なシステムに対して技術的な会話や提案、意見交換ができ、発生している問題や課題に対して技術的な改善策や実施策を提案し、導入を推進することができるエンジニアを指すでしょう。
様々な企業から頼りにされ、お客様だけでは解決できなかった問題を解決する。
こういったことに仕事の楽しさを見出せる人はSIerの仕事が向いていると思いますし、これらの技術に対する市場価値は非常に高いです。
逆に自社システムを面倒見ながら試行錯誤してより良いシステムを作っていくことに楽しさを見出すのであれば事業会社が向いていると思います。
SIerで成功するチャンスはまだまだいくらでもある
SIerでは技術力が必要な仕事とそうでない仕事があるのはイメージしていただけたかと思います。技術力を伸ばしていくために最善の道は、技術力が必要な業務に携わることです。
逆にマニュアル化された業務や技術力よりもマンパワーが必要な業務を何年続けても技術力は伸びにくくなります。
しかし、技術力が必要な業務は技術力がないと携われません。ニワトリタマゴの話ですね。
そのため技術経験が浅い人が技術力を必要とする案件に単独で入ろうとするのであれば、経験が足りなくてもキャッチアップ能力でカバーしてくれるだろうという期待値を上げるしかありません。
こういった条件を単独でクリアしていくには実際問題として高いハードルがありますが、単独で常駐させる会社はまだまだ多くあります。
SIerの未経験採用は基本的に新卒がターゲットになるため、中途未経験で入れる可能性はほぼありませんが、派遣会社から未経験で就業する人は一定数います。
なぜ派遣会社経由なら未経験でも就業できるかというと、派遣会社で研修を行っていたり、未経験をチームでサポートする体制を組んでいたりと、就業先であるSIerと信頼関係が出来ているからです。
他社の派遣会社やSESは入社後にその時々で空いている案件にアサインするため、本人の希望が蔑ろにされるケースが一定数あります。(特に立場の弱い若手ほど)
弊社は他社と違い、全てポジションありきで募集を掛けています。
(募集ポジションはこちら)
これは取引先のSIerと信頼関係が出来ているからこそ可能な募集スタイルだと考えています。
弊社では本人が希望する業務を担当してもらうことが一番実力を発揮でき、技術力が必要なポジションに携わることで、技術力は確実に伸びてキャリアアップ成功へ繋がると考えています。
これまでの実績を例に挙げると、これまでの採用実績は運用や保守経験1年程度の方が大半を占めており、そのほとんどが入社してすぐ上流工程に携わっています。
大手SIerの採用基準と比較したら圧倒的にハードルは低いと思いますので、SIerで身に付く技術や弊社の考え方に魅力を感じていただけた方は是非エントリーをお待ちしています!