上司との1on1でよくある風景
「5年後、10年後、どういうエンジニアになっていたいですか?」
面接や上司との面談で聞かれがちな質問ですね。
若手エンジニアの中には「そんなこと聞かれても10年後に流行っている技術なんて分からないし、具体的にはイメージできない…」と、思っている方も少なくないことでしょう。
それはごもっともな感想で、なりたいエンジニア像は日々変わる可能性だってあります。
しかし、1つだけ頭の片隅に置いておいてほしいことがあって、 それは「企業が世代別に求めているものは昔から大して変わっていない」ということです。
整理して1つずつ見てみましょう。
20代のエンジニアに求められること
20代といえば新卒といった初めて社会人を経験する層でもあります。 そんな20代に求められることは
- 新しい技術を習得し、業務を覚えることで1人前になる
- 与えられた仕事のミスを減らし、上司のレビューがなくても問題ないレベルになる
- 適切な報連相が出来るようになる
大枠として書くとこんな感じになるでしょう。 企業全体の観点というよりはまずは個人レベルで1人前になることを求められます。
30代のエンジニアに求められること
さて、社会人経験も10年近くにもなる30代に求められることは、20代とは少し変わってきます。
- 20代の若手とチームを構成し、チームのマネジメントが出来る
- 若手の仕事に対してレビュー出来る知見を持っている
- 若手に対して教育、指導が出来る
- 社内、社外等で発生する様々な問題に対する解決能力を持っている
20代では個人の観点で成長出来るかが求められていましたが、30代になると若手に対するマネジメント能力や、社外の人間と対等に渡り合う能力が求められます。
また、徐々に努力や過程よりも成果が重視されるようになってきます。
頑張っただけでは評価されず、結果がどうだったか?という概念が常に問われます。
ここが20代と一番違う点で、ここを理解できているかどうかを採用の評価軸にしている会社も少なくないと思います。
また、メンバー層の信頼を得るために自身の技術力も問われることになるでしょう。
40代以降のエンジニアに求められること
- 会社(プロジェクト)の利益を伸ばすための戦略を企画、実行出来る
- 30代のマネジメント層に対して教育、指導が出来る
- 複数のチームを統括できる
- 客観的な視点でリスクマネジメントが出来る
40代になると会社をリードしていく層になります。
社内や社外はもちろん、様々な知見を活用して会社を大きくしていくために何が出来るのかが問われます。
30代の頃はマネジメント対象がメンバーでしたが、40代になるとマネジメント対象がチームに変わります。
プロジェクトで言えば、サーバチーム/ネットワークチーム/ミドルウェアチームと言ったように自分の専門領域外のマネジメントも必要になってきます。
マネジメント対象が一気に増えることで各チームから様々な要望があるでしょう。
その中で潜在的なリスクを考慮した決断や調整をしていかなければなりません。
特にリスクマネジメントに関しては自分の知見や失敗経験が一番活きてくるところでもあります。 40代に入ってからいきなり身に付くものではありませんので20代、30代での経験が重要となってきます。
40歳以降、派遣(SES)エンジニアに求められる技術とは?
ここまでで企業側が世代ごとに求めるものはなんとなくお分かりいただけたかと思います。
これは外部委託である派遣やSESにも概ね当てはまります。
新しい技術をキャッチアップして技術検証や指示した仕事を完璧にこなすのは20代に任せたいと考えています。
30代の派遣エンジニアであればメンバー数名を取りまとめながらプロジェクト推進を行うポジションやトラブル対応といった顧客調整を任せたいし、40代の派遣エンジニアであればプロジェクト全体統括を任せたいと企業は考えています。
逆を言えば40代にメンバーポジションの技術力やキャッチアップ能力の高さをそこまで求めないし、20代にプロジェクトの利益最大化までは求めないということです。(もちろん出来る人には求められますが)
40歳や50歳になろうとも、プロジェクトマネージャーとして利益を生み出せるエンジニアであれば需要はいくらでもあります。
これらが出来れば派遣エンジニアという立場は全く弱いものではありません。
プロパーでは中々できない単価(給与)交渉や労働条件等も有利に進めることが可能となります。
むしろこの領域に達することが出来る人(意欲がある人)こそ派遣やSESで働くべきまであります。
派遣やSESはメンバー層の仕事が比較的多い
派遣やSESは元請けとなるSIerやエンドユーザーから契約範囲内の仕事を行うことが多いです。
そのため30代以降、企業に求められやすいマネジメント能力や企画能力が身に付きにくいのも1つの事実です。
とくにチーム体制を組んでおらず、単独常駐で自社とも疎遠になった状態で気付けば30歳という人も少なくないと思います。
30代になってマネジメント能力を開花させたいのであれば、やるべきことは20代に優秀なマネージャーのもとで仕事をし、そのマネージャーと良好な関係を築き上げることです。
自分なりの考えが、時にはマネージャーと衝突することもあるでしょう。しかし、そういった経験を経て管理職の土台が築き上げられていくのです。30歳になってから管理職として頑張れば良いではないのです。
自分が有利な土俵で勝負する
30歳、40歳と年を重ねると結婚や出産、育児や介護というように人生の転機も多く訪れることでしょう。
20代と同じように自己研鑽の時間を取れなくなることも考えられます。逆に20代と変わらず時間が取れる人もいます。
そんな中で自分は20代と同じ土俵で勝負すべきなのか、年齢相応の土俵で勝負すべきなのかを考えるのも生存戦略の1つだと思います。
30代以降、新しい技術をキャッチアップして手を動かせるエンジニアとして成長していきたいというキャリアを考えた際、それは20代と競合するということを忘れてはいけません。
自分が30歳、40歳になった時に20代のキャッチアップ能力や体力と勝負するのは非常に不利というには誰にでも分かることでしょう。
40歳になるまでマネジメント能力を伸ばしてこなかった人が、40歳になった途端優秀なマネージャーになることは有りえません。
そのため弊社ラワンセでは、社員が40代以降になっても路頭に迷わないよう若手のうちからプロジェクトマネジメントの基本を学べる案件にアサインし、マネジメント能力向上に注力しています。
若手のうちからプロジェクトマネージャーのもとでプロジェクト管理の基礎である課題管理、進捗管理、リスク管理、コスト管理といった要素を部分的に任され、徐々に全ての要素が身に付くようになっていきます。
これらの基礎があるかないかで30代以降の飛躍は大きく変わります。